スパークス・グループ株式会社

00:バフェットさんと会った時

バフェットさんに会った時に彼が言ったこと

幼い頃、コーラを売って小遣い稼ぎをした少年が大人になり、全資産の3分の1をコカ・コーラ株に集中投資し巨万の富を得る。20世紀を代表するアメリカンドリームの具現者で、今でも大好物のチェリーコークを1日に5本も飲むというウォーレン・バフェットさん。彼の成功物語は投資家の憧れです。
かく言う私もバフェットさんにお目にかかりたいと思っていましたが、2018年、親しい友人の紹介でそれが実現しました。場所はバフェットさんお気に入りのネブラスカ州オマハのレストランでした。そのレストランの名物料理である「Tボーンステーキ」を食しながら、私は遠慮がちにこう話しました。
「体重が気になるので、私はチェリーコークではなく、ダイエットコークにさせてもらいます」すると、バフェットさんはこう答えたのです。
「Thank you! ダイエットコークのほうが10%以上、粗利が高いんだよ」
健康志向によるゼロカロリー飲料市場激化の中で、コカ・コーラ離れの流れを打破し、収益向上を目指す要がダイエットコークです。それを目の前で美味しそうに飲んで見せる私は、コカ・コーラの大株主であるバフェットさんの目からみれば、良きコンシューマー代表と映ったのでしょう。

企業に内在する価値に投資する

バフェットさんは投資を行う企業に対し、次のように述べています。
「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいい。その会社が10年、50年経っても『欲しい』と皆が思うものを作っているかどうかが重要だ」
バフェットさんは一時的な成長率などに惑わされずに、企業に内在する価値に対してこそ投資をすべきと考えています。株式投資は企業の一部分を保有することです。
だから自らがよく知り信頼できる企業に投資します。その典型がコカ・コーラです。コカ・コーラのブランド力は、世界に類を見ないといえるでしょう。先進国に住む者であれば誰もが知っていて、発展途上の国にあっては豊かさの象徴となります。バフェットさんは「コカ・コーラを飲んだ幸福感は健康上の利益に勝る」(この「名言」までは、私は同意いたしかねますが)、とまで語っています。
その真偽はさておき、人々を幸せな気持ちにさせる飲料を作り続ける企業の株は、持ち続けるに値する株といえるのです。
バフェットさん率いるバークシャー・ハサウェイが、コカ・コーラの株式取得を開始したのは1988年のこと。60年連続増配を実現する同社に対し、バフェットさんの信頼はゆるぎないものがあります。

優秀な経営者を見つけて、集中投資し、長期保有する

バフェットさんとの面会は、3時間半に及びました。5年後、10年後の世界を展望し熱く語るバフェットさんに、米国資本主義の良心を感じ、改めて襟を正す思いでした。
昼食の前には、オフィスにも伺いました。数十年前から使い続けるバークシャー・ハサウェイのオフィスは、社員はわずか10数人、会議室は8人しか入れませんでした。普段、バフェットさんは、ほとんど人と会わず、ここで企業のアニュアルリポートや本を読みながら未来を展望しているのだそうです。「良い会社はそう多くはない。だからこそ、見つけたら集中投資する」。これがバフェットさんの信条です。
では、どんな会社が良いのかと聞いたら、「私が今でもバークシャー・ハサウェイが大好きなように、自分の企業が大好きな社長を私は探している」との答えが返ってきました。
株式投資における最も有効な戦略は、その企業の長期的な成長の果実をシェアすることです。一般の投資家が、バフェットさんのように企業のオーナーになるのは無理かもしれませんが、バフェットさんと同じような視点で、優秀な経営者や企業を探し、長期投資をすることはできるはずです。

投資のレジェンドたちの教え

本コンテンツのもとになったのは、スパークスの社内勉強会「バフェット・クラブ」における私の講義です。私は約30年前の創業時から「バフェット・クラブ」を続けてきました。この勉強会にこそ、スパークスが日本のバブル崩壊やリーマンショックなどの金融危機を克服して、成長を続けてきた原動力があります。
「バフェット・クラブ」は、プロとして株式に投資するスパークスの社員を対象にしたものですが、そこで私が教えていることの柱は、バフェットさんの戦略のような普遍的な投資の考え方です。
それを一般の投資家の方にもわかりやすいように再構成して、さらには4コマ漫画でポイントを説明しています。バフェットさんをはじめとする「投資のレジェンド」の教えを中心に、株式投資で成功するための王道について解説しています。
今の投資環境で勝つために忘れてはいけない視点なども取り上げていきます。それは私たちスパークスが大事にしていて、30年以上にわたって投資の世界を勝ち抜いてきた実績のベースとなる考え方です。

「バフェット・クラブ」という名前には、バフェットさんの「お墨付き」をいただいています。あるときバフェットさんに「私の会社の社内勉強会は『バフェット・クラブ』といいます。お名前を使わせていただいていますが、いいですか?」と聞いたら、「もちろんOKだ」とおっしゃっていただきました。
それでは「バフェット・クラブ」の講義を始めていきましょう。