スパークス・グループ株式会社

13:新聞で得た情報から次にどういう現象が起こるかを考える  是川銀蔵

情報収集の方法

日経新聞だけで、世界と日本の経済情勢はわかる

「実践派エコノミスト」の是川銀蔵さんがよく言っていた「目を通すのは日本経済新聞だけや」を、私流に考えてみます。
「最後の相場師」とも呼ばれ、80代まで現役投資家だった是川さんは、日本セメントや住友金属鉱山などへの株式投資に成功し、巨万の富を得たと言われています。スパークス創業後、新幹線の熱海駅で最晩年の是川さんを偶然見かけた私は、思わず近づきご挨拶してしまったほどです。
彼がよく言っていたのが、「日経新聞だけで、世界と日本の経済情勢はわかる。ただ活字を通して、次にどういう現象が起こるかを考えなければならない」という話です。私もマスメディアという媒体を通して得る情報は、選別した信頼できるメディアを読むことだけで十分なインスピレーションを得られると思っています。
こういった観点で新聞に接していると、数々の変化と考えるヒントが目に飛び込んできます。
例えばロシアの侵攻によってウクライナからの小麦やトウモロコシの輸出ができなくなったことから、穀物価格の高騰が報じられ、円安も重なり、小麦を使うパンや麺など幅広い食品の値上げが報じられています。また、ロシアからの穀物輸出が減少するリスクについても大きく報じられています。
ヘッドラインだけ読んでいると見逃してしまいますが、穀物だけではありません。とうもろこしなどを飼料として使う畜産業も影響を受け、食肉価格の上昇も懸念されます。また、肥料の原料となる塩化カリウムはロシアとベラルーシに大きく依存しており、窒素、リン酸などもロシアが大きな輸出国となっていることから、肥料価格の上昇による影響は、小麦やトウモロコシ以外の食品にも拡大する懸念があります。
またウクライナはひまわり油の世界一の生産国であり、ひまわり油が使われているチョコレートへの影響、さらにパーム油など他の植物油への波及も懸念されます。
このように考えていくと、化学肥料の価格上昇による化学肥料を減らす取り組み、小麦から米粉への切り換えなどによる日本の食料自給率の変化、関連産業への影響などについても考えが進んでいきます。
さらには、今のインフレはロシアの石油問題だけに起因するものだけではなく、ゼロ金利政策による影響でもあることも読み取ることができます。
毎日、信頼できるメディアの情報を注意深く読んでいくことで、考えるヒントは見つかるのです。リアルな投資を行っていくためには、こうした日々の情報が非常に重要な意味を持ちます。