スパークス・グループ株式会社

03:自分にわかること、できることに全力を注ぐ  ウォーレン・バフェット

行動の一貫性

「良い株を割安で購入し、長期保有する」という、きわめてシンプルな投資スタイルで圧倒的な成功を収めたウォーレン・バフェットさん。トレンドに振り回される投資家が多い中、その企業が行っている事業の「本質」を見極め、集中投資するというバフェットさんの行動原理は、投資で長期的に大きな成果を上げるための王道です。そこで、バフェットさんが大事にしていたという「自分にわかることに全力を注ぐ」という部分を紐解いていきましょう。

投資実行のポイントは『自分が理解しているかどうか』

「リスクは、あなたが何をやっているか理解していないときに起こる」。バフェットさんはこのように考えていたようです。
バフェットさんの好んで使っている言葉に、「Circle of Competence」というものが
ありますが、これは「事業の経済性について判断することのできる能力の範囲」、つまり自分の理解の及ぶ範囲のことを指しています。
1つ、このことを象徴するエピソードがあるのでご紹介します。1990年代、IT業界への投資が活発化したときのことです。
実は当時のバフェットさんは、IT企業への投資にまったく興味を示さなかったようです。なぜか? それは、「判断に足る情報が足りていなかった」からです。バフェットさんは投資の際、過去から現在に至る起業の実態やトラックレコードを徹底的に分析し、その企業の本質的な価値を見出し、価値があると確信が持てたときのみ、
投資を実行します。
例えば当時のアップルなどは、イノベーティブな企業として市場の評価が高かったものの、まだ新しくビジネスを始めたばかりであり、決算書や経営者の性質など、バフェットさんが判断するための情報が少なかったのです。
つまり、「よくわからなかった」わけです。
しかしその後、それらの企業は周知の通り、着実に優秀な実績を蓄積していきました。そして多くのIT企業が現れては消えていく中で、小さな成功に満足せず、イノベーションを起こし続けるアップルの実績を見て、初めてバフェットさんは投資に踏み切るのです。
これぞ、バフェットさんが長期的に利益を上げている1つのポイントといえるでしょう。
ちなみに、アップルへの投資の際、バフェットさんはiPhoneを使っているお孫さんと話をし、「iPhoneがいかに便利か」「いかに、日々の生活の中で大きな位置を占めているか」という情報を得て、アップルの未来への確信度を高めたというエピソードもあります。

最も投資価値の高い企業に集中投資する

バフェットさんの名言に、「自分の能力の範囲で投資しなさい。その範囲が大きいかどうかは問題ではない。どれだけ『はっきりと線が引けるか』が重要だ」というものがあります。実はスパークスも、基本的にまったく同じ哲学で投資を行っています。
スパークスでは、投資する企業を徹底的に調査します。その企業の経営者の質、事業の収益性、安定性や将来性などに対して確信を得られた場合のみ、投資を実行します。決して「よくわからないけど、もてはやされている企業」には投資しません。
結果として、スパークスにおける投資は、一極集中型になります。これは、多くの機関投資家が重要視しているポートフォリオ理論とは逆をいくものです。もちろん、資産減少のリスクを低減させるために、別のバスケットに卵を分散させて入れておくというポートフォリオ理論は重要ですが、それが「気休めの分散投資」のようになっていることもあるのではないかと私は思っています。
投資において、圧倒的なリターンを得るためには、やはり、自分がわかる範疇で、最も投資価値の高いものに、集中的に投資することが最適と考えます。
私自身、スパークスを創業して以来、多くのことにチャレンジし、成功と失敗を経験してきました。そこで得た最大の教訓は「自分ができないこと、知らないことはやってはいけない」というものです。みなさんも、自身の投資家としての範疇はどこなのか、その範疇のことをどれだけよく知っているか、ということを改めて考えてみてはいかがでしょうか。